春の花の代表と言える水仙の花。この花にまつわる、ちょっぴり悲しい神話がありますが、うつむく姿ははにかんでいるようにも見えるのですが、どうでしょうか。
さて、ドイツでも水仙の花は、春になるとあちらこちらで見かけ、この花を見ると、ようやっと長い冬が終わったなと思います。ドイツ語名はOsterglöckchen(復活祭の小さな鐘)という名前がついていて、春の復活も知らせている、そんな気がしてなりません。
花ポートレート
花にまつわる神話
水仙とギリシャ神話
美少年ナルキッソスは、その美貌によりさまざまな相手から言い寄られましたがいつも冷たい態度をとりました。森のニンフ(山、川、森、谷に宿る精霊)のエーコーもナルキッソスに恋をしましたが、彼に相手にしてもらえず、屈辱と恋の悲しみからやせ衰え、ついには肉体をなくして声だけの存在になってしまいます。
復讐の女神ネメシスは怒り、その呪いによりナルキッソスは水面に映る自分の姿に恋をしてしまいます。しかし、水面の中の像は、ナルキッソスの想いに応えることはなく、その恋の苦しみで彼は憔悴して死んでしまった。
そして、その体は水辺でうつむきがちに咲くスイセンに変わりました。だからスイセンは水辺であたかも自分の姿を覗き込むかのように咲くといわれます。
ナルシストエコーの語源
自己陶酔型の人を意味する「ナルシスト」は、ナルキッソスの神話に由来します。また、こだまや反響を意味する「エコー」は、森のニンフのエーコーが語源となっているそうです。
基本情報
和名:スイセン(水仙)
別名:セッチュウカ(雪中花)
科 属名:ヒガンバナ科 スイセン属
学名:Narcissus
ドイツ名:Osterglöckchen
英名:Wild daffodil, Lent lily
ドイツにおける背丈
30cmから40cm
ドイツにおける開花期
1月から3月(12月)
種類
多年草
原産地
地中海沿岸、北アフリカ、スペイン、ポルトガル
花言葉
日本語の花言葉
「自惚れ」「自己愛」
西洋の花言葉
スイセン全般
「self-love(自己愛)」「egotism(自己中心、うぬぼれ)」「unrequited love(報われぬ恋)」
ラッパ水仙
「regard(注視)」「respect(尊敬)」
水仙を使ったいけばな
春になると欠かせない花なので、生け花として使う機会も多くあります。