いけばなとは? 〜花・植物を活かす日本の伝統文化〜

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いけばな(生け花)とは、花・植物(ここでは「花」と統一)を使った日本の伝統的な芸術のことを指します。

ただ単に花を飾るのではなく、自然の美しさや季節の移ろいを表現し、花と向き合うことで心を整える文化でもあります。

海外でも「IKEBANA」として知られ、多くの人々に親しまれています。

目次

いけばなの歴史

いけばな発祥の地 京都 六角堂(頂法寺):写真ACより

いけばなの起源にはいくつかの説があり、まず一つは日本に古くから伝わる信仰に基づくものです。

常緑樹には神が宿るとされ、「依代(よりしろ)」と呼ばれる存在として崇められてきました。お正月に飾る門松などはその一例です。

もう一つの説は、仏前に供える花(供花)からいけばなが発展したというものです。

また、平安時代には花や植物が身近な存在として、和歌にもしばしば登場しました。

花の美しさを詠むことで季節感や感情を表現し、植物は生活の中で深く愛されていました。

例えば、源氏物語の中でも花が象徴的に使われています。

これらの植物との深い関わりが、室町時代にいけばなという形式として自然に成り立ったと言えます

池坊専慶によって確立された「立花(りっか)」は、長い間の植物との対話の中で生まれ、武家や貴族の間で広まっていきました。

そして江戸時代(17世紀〜19世紀)に入ると、流派が増え、一般庶民にもいけばなが親しまれるようになります。

明治時代(19世紀末〜20世紀初頭)には、社会の変化とともに日本の花文化にも大きな影響がありました。

特に、海外から多くの西洋の花が日本に持ち込まれ、従来の日本の花とともに新しい風がいけばなの世界に吹き込みました。

これにより、いけばなに新たな表現方法が加わり、小原雲心による「盛花(もりばな)」が登場します。

盛花は水盤と剣山を使用し、従来の立花や生花とは異なり、より自由で自然な形で花を活けることができるようになりました。

この変化により、日常生活の中でも楽しめるいけばなが広まり、いけばなのあり方が大きく変わりました。

現代では、伝統的な表現方法に加え、自由な発想を取り入れた「現代いけばな」が登場し、多様な表現が試みられています。

いけばなはますます多様化し、今なお進化を続けています

時代特徴・出来事代表的な様式・流派
室町時代(14〜16世紀)仏前の供花から発展し、装飾的な「立花(りっか)」が確立される。池坊(池坊専慶)
江戸時代(17〜19世紀)いけばなが武家・庶民の間で広がり、多くの流派が誕生。各流派が発展
明治時代(19世紀末〜20世紀初頭)伝統的ないけばなに加え、新しい様式が生まれる。小原流が「盛花(もりばな)」を考案。小原流(盛花)
現代(20世紀〜現在)伝統的なスタイルに加え、自由な表現を取り入れた「現代いけばな」が発展。池坊、小原流、草月流 など

いけばなの基本的な形式

いけばなにはさまざまな形式がありますが、代表的なものは以下の3つです。

立花(りっか)

By Ikenobō Senkō II – 池坊専好立花図

立花(りっか)… 最も古い花型で、歴史ある形式

室町時代(14世紀〜16世紀)、池坊専慶によって「立花」という形式が確立され、この花型が武家や貴族の間で広まった。

写真はWikipediaより

Ikenobō Senkō II – 池坊専好立花図, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=60652264による

盛花(もりばな)

盛花

盛花(もりばな)… 水盤に剣山を使って生ける花型

明治時代(19世紀末〜20世紀初頭)、海外から多くの西洋の花が日本に持ち込まれたのをきっかけに、小原雲心が考案した花型。

いけばなを代表する花型で、多くの流派が取り入れている。

写真は当サイト運営者作品

投げ入れ・抛げ入れ(なげいれ)

投げ入れ・抛げ入れ(なげいれ)… 背丈のあるお瓶(おつぼ)、いわゆる花瓶にいける花型。

剣山などの花留めは使わない。その代わり、枝や花を留める技術を用いる。

写真は当サイト運営者作品より

いけばなの特徴と魅力

いけばなの最大の特徴は「空間の美しさ」を重視する点です。

西洋のフラワーアレンジメントが花を密集させて飾るのに対し、いけばなは「間(ま)」を生かし、線の美しさや花材の個性を引き立てます。

また、季節感を大切にし、使う花や枝葉にはそれぞれ意味が込められています。

例えば、春には桜や梅、秋には菊や紅葉など、その時々の自然を感じられるのが魅力です。

いけばなの楽しみ方

いけばなは、年齢や性別問わず、もちろん初心者でも気軽に始めることができます。

  • 必要な道具:花器、剣山、花ばさみなど
  • 学ぶ方法:いけばな教室やワークショップに参加をしたり、本や動画を参考にする
  • 楽しむポイント:季節の花を使って生ける

まとめ

いけばなは、古くから日本の伝統文化ではありますが、時代や生活様式と共に変わってきました。

  • 単なる花の飾りではなく、自然や心を映す、身近な芸術
  • 植物の美しさを見つけることが大切
  • 誰でも気軽に楽しめる

ぜひ挑戦してみてください!

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